フイルム写真のデジタライズ
相変わらず、自分がかつて撮ったフイルム写真のデジタライズをしている。過去を懐かしんでいるのではない。これは自分のやって来たことへの落とし前だ。オザワ程度の写真屋では、誰も作品を検証してくれはしない。もう、そう長くは生きない。自分で自分の信じてきたことへの、落とし前はつける。
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君の髪は潮風に小さく乱れてなびく。
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世界は君のバックグラウンド。
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全宇宙は、君のために廻る。
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ポートレイトを撮るということは、そういうことだ。
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気取ったポーズをしなくていい。
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形を作らないでいい。
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世界が君を助けてくれる。
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君は、そよ風に髪をとかせて、
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自分では気づかなかった、真顔をする。
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自分では気づかなかった、笑顔をする。
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写真屋は必ずそれを捉える。
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それは恋にも似ているが、そこに留まらないことは、君も僕も、悲しいけど知っている。
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恋で済むなら、そんな楽なことはない。
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笑って、とは言わない。
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ただ君の総量にかけて、輝いてくれと思っている。
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ポートレイト。それは、なんと美しく、激しい行為なんだろう。
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